全国ホテル案内 [番外]
先日部屋の掃除をした際に思い切って古い書籍の整理を始めたところ、何年も忘れたままになっていた懐かしい本が出てきました。
それがこの「全国ホテル案内」です。
表紙の写真に写っている車も見るからに古いですね。
いつ頃どこで入手したのかは覚えていませんが、発行は昭和42年(1967年)となっていますからもう40年以上前の本です。(文藝春秋刊)
部屋の掃除を中断してパラパラめくり始めるとこれが面白いんですね。
いわゆる「洋式ホテル」の案内本ですが、ちょっと抜粋してみると、
・ホテルは玄関から部屋まで、靴のままで行けるが、自分の部屋以外では靴を
はき、日常の服装でいなければならない。温泉、観光地の一部を除き、どて
らなど出さないし、寝巻、パジャマで室外に出てはならない。
・ホテルの部屋は人数と予算に応じて、・・・それぞれの段階で料金が明示さ
れ、日本旅館にありがちの、客のなりをみて部屋の値段を決める、というよ
うなことはない。
・ボーイやメイドは呼ばない限り入ってこない。その代り着替えの手伝いや食
事の給仕も無い。
・予約さえして部屋を確保すれば、女一人でも老人でも歓迎され、安心して一
人旅が楽しめる。日本旅館の一人旅では悪い部屋とか法外な料金とか、いや
な顔をされる場合が多い。
・ホテルの玄関に着いたらまず大きく深呼吸をして、胸を張って堂々と入ろ
う。新式ホテルはたいていマジック・ドアで入口と出口があるから、よく確
かめて入らないと、うっかり手を掛けようとしてスーッと開き、前のめりに
走りこむ醜態を演じる。
・便器の横にもう一つ平べったい陶器があれば、それはビデという女性専用の
洗滌器だ。ある角度でお湯が噴出するが、それでうがいをしたり、また間違
えて固形物を排出したりすれば、始末に困ることになる。
などなど。その他、ルームサービスの説明、バスルームの使い方、レストランでの注文の仕方などが事細かに書いてあり、この時代のホテルの位置づけや普及度合いが分かってとても面白い資料です。
この本で紹介されているホテルも軽井沢で言えば、まだ南が丘に東急ホテルがありましたし、三笠ホテルも営業していました。軽井沢プリンスの西館もまだ晴山ホテルの時代です。
室料はツインルームで2,500円から4,800円、食事も朝食400-450円、夕食で1,000-1,200円と隔世の感があります。
こういった古い本を何年も経ってから読んでみるのは楽しいものです。
ということで古い資料って捨てられないものですね。
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